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連載

日本の科学アラカルト 138

実用化に向け着々進む 「全固体電池」の最新研究

2022年2月号

 電気自動車(EV)を巡り、国や企業の駆け引きが続いている。欧州各国がEV以外の自動車販売の規制に乗り出し、メーカーは対応を迫られている。日本国内では、現状、劇的な規制は検討されていない。しかし昨年末、トヨタ自動車が突如としてEVラインナップを大々的に発表した。
 各プレーヤーは政治的、経済的な思惑で動いているのだが、肝心のEVはどこまで進化しているか。
 EVのボトルネックはいくつかある。少し前なら航続距離が決定的に短かった。最近では、カタログ値で四百キロ程度走行できるものも多く、六百キロ近く走れるというものも市販されている。
 ハイブリッド車(HV)では、満タンの場合に理論上一千キロ以上走行できるモデルもある。そうしたものと比較すると、EVは少し物足りなさが残る。
 電池の容量が限られて航続距離が短くても、気軽に充電できれば問題はない。実際、いわゆる充電スポットは徐々に整備されている。しかし、充電には時間がかかる。ガソリン車に給油する場合、タンクがほぼ空っぽの状態でさえ、満タンまで数分で終わる。しかしEVでは、メーカーの専用急速充電設備を使っ・・・

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