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社会・文化

農産物輸出「一兆円」の亡国

食卓格差「国内分断」を招く愚策

2022年4月号

 昨年末、十一月の貿易統計が発表されると、農林水産省輸出・国際局は祝賀ムード一色となった。十二月分の発表を待たず、二〇二一年の「農林水産物・食品」の輸出額が政府目標の一兆円を突破したからだ。
 早速、NHKは和牛農家のルポなどを交えて「消費者の選択が増える」と絶賛。二一年の通年実績が発表された今年二月にも同じような報道を繰り返した。輸出額は前年と比べて二五・六%増の一兆二千三百八十五億円となり九年連続で過去最高を更新し、主要メディアは「苦節十五年」(二月五日付毎日新聞)などと評価した。普段は農業保護論を唱える専門紙の日本農業新聞も、一次産品の輸出が「出遅れている」(同日付)と報じ、もっと輸出を伸ばすべきだとした。
 しかし、日本の農産物輸出は亡国につながりかねない問題を抱えている。最大のポイントは「食料を自給できない国が食べ物を輸出すれば、国民の食べ物が減る」という子どもでも分かる当たり前の理屈だ。

統計も分析も嘘だらけ

 農産物の輸出が増えて国民に具体的なメリットがあるのか。団塊世代前後・・・