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連載

広告を裏読みする 第42話

大幸薬品“謝罪広告”の狡猾

2022年6月号

「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」。間違いを犯した際に、すぐに謝罪できるか、意固地になるか、はたまた表面上だけ謝罪するのか。こうした行動や態度に、人となりは出る。企業も同様だ。問題が発生したときには、「謝り方」ひとつとっても慎重を期す必要がある。
 ゴールデンウィーク期間中、ある企業の謝罪広告が日本経済新聞に掲載され、広告業界で話題を呼んだ。
「弊社商品の表示に関するお知らせ」と題された広告を出したのは大幸薬品。ラッパのマークの正露丸で有名な会社だ。今回の広告は、同社が販売してきた「クレベリン」という商品シリーズについてのものだった。同商品はパッケージなどに「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」と表示して販売されていた。
 これを問題視してきたのが消費者庁だ。大幸薬品に対して効果を説明する資料を提出するよう求めた。そして同社が「根拠」として提出したデータでは、ウイルスなどを除去する効果は認められなかった。最終的に消費者庁は今年一月と四月に、景品表示法に基づく措置命令を出している。今回の広告はこの命令を受けたものだ。
ポーズに過ぎない謝罪{・・・

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