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経済

東芝はやっぱり「解体」へ

TOB不発「株価暴落」後の結末

2022年9月号

 本命は官民ファンド―。証券市場には“国策銘柄”に対するバイアスが漂っている。
「今の東芝の危機的迷走の遠因をつくったのは国。ならば、出口を導くのも国だろう」
 東芝の株式非公開化を含む経営再建策の公募が二次入札へ進んだ。一次入札を通過した国内外のファンド四陣営のうち、年内に決まる落札者の主軸は、経済産業省所管の産業革新投資機構(JIC)とみられているのだ。
 振り返れば、迷走の端緒は二〇〇六年、東芝が米国の原子炉メーカー、ウェスチングハウス(WH)を六千二百億円の高値で買収したことに遡る。その背中を押したのが当時、“原子力ルネサンス”の掛け声の下、原発輸出を国策としていた経産省だった。が、東芝はWHの米国の原発建設失敗によって債務超過に陥り、それを解消するために招き入れたアクティビストに翻弄されてきた。株主還元や資産売却をめぐり、方針が二転三転したことは周知の通りだ。
 それが、ようやくTOB(株式公開買い付け)による非公開化、すなわち既存株主一掃の方向性を見出したのである。十六年越しの因縁に鑑み・・・

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