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経済

楽天モバイル「延命方法」の模索

「プラチナバンド騒動」の茶番劇

2023年1月号

 ひと口に「通信と放送」と言う。しかし、インターネットの社会インフラ化が進むにつれ、両者の産業規模、市場や文化への影響力の差は開く一方だ。民放キー局五社をはじめとする放送事業者は、視聴者漸減による広告収入の低迷に苦しみ、今や番組のネット配信に活路を求める。
「その明暗が、いわば楽天を救った。三木谷は強運の持ち主だ」
 ある自民党関係者が皮肉交じりにこう指摘したのは、楽天グループの会長兼社長・三木谷浩史が執念を燃やす、携帯電話のプラチナバンドの獲得である。
 プラチナバンドとは、周波数七百~九百メガヘルツ(MHz)帯のつながりやすい電波を指す。携帯キャリアにとっては、基地局投資を効率化できる文字通り“お宝”の電波だ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手三社は五十MHz幅ずつ割り当てられているが、新規参入者の楽天モバイルにはない。
 三木谷はこれを「不公平」と主張し、大手三社から一社十MHz幅、合計三十MHz幅の移行を要求してきた。もちろん、大手三社は反発する。総務省の電波政策の有識者会議は移行期間や費用負担をめぐって紛・・・

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