三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《クローズ・アップ》福留 朗裕(三井住友銀行次期頭取)

業界仰天の「イレギュラー人事」

2023年1月号

 銀行業界が三井住友銀行のトップ人事に仰天した。主要メディアは「統合から二十年で初めて旧三井銀行出身者が頭取になった」と報じたが、それが理由ではない。銀行業界ですらさすがにそこまで時代遅れの発想を抱く向きはいない。業界が驚愕したのは「明らかに非伝統的な人事」だったからだ。
 現在、専務執行役員を務める福留朗裕氏。二〇二三年四月一日に頭取CEOに就任する。一貫して海外・市場部門を渡り歩いた。海外勤務は十六年ほどに及ぶ。企画、人事という頭取への定石ポストの経験は皆無。従来パターンからすれば、非伝統的だ。
 それだけではない。一八年には銀行の籍を外れている。通常なら銀行員人生はこれで幕を閉じる。以後三年間、トヨタ自動車の常務役員・販売金融事業本部長とトヨタファイナンシャルサービス社長を務めた。一般的には、銀行員の第二の人生。
 ところが、二一年に銀行に復帰し、グローバルバンキング部門の共同統括責任役員として、欧州・米州を担当している。
 従来の銀行的発想では頭取就任は「ダブルのイレギュラー」だ。
 役員クラスで転籍した人物が復帰し、頭取に就い・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます