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豪州と日本「準同盟」の紐帯

戦略物資と防衛協力で「脱中国依存」

2023年6月号

 オーストラリアのクリティカル・ミネラル(重要鉱物)が世界の注目を集めている。レアアースやリチウム、コバルトなど、脱炭素経済に必要な鉱物が豊富で、米国や日本は「中国に代わる供給源」として、オーストラリア政府・業界との連携を急いでいる。
 アンソニー・アルバニージー首相率いる豪州政府も、中国に対抗するため、日米との資源協力だけでなく、軍事面での協力強化も進める。オーストラリアは、民主主義陣営のための重要鉱物供給源になれるだろうか。

レアアース開発で「脱中国依存」

 豪州大陸とタスマニア島のほぼ中間に位置するキング島は、かつて「タングステン・ラッシュ」で栄えた鉱山の島だった。タングステン価格の暴落・低迷によって、採算が合わなくなり、一九九〇年代に採掘が中止された。
 最近になって、次世代自動車や精密機械の製造のため、硬度の高いタングステン需要が高まり、採掘再開が決まった。
「タングステンは戦略的な重要鉱物で、今後の高い需要が見込まれる。キング島は西側では最も豊かな鉱脈を持っている」と・・・

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