トランプは米国憲法「破壊」を目指す
ヤシャ・モンク(政治学者)
2025年5月号
―トランプ大統領の傍若無人ぶりが米国社会と世界を揺るがしています。
モンク 米国は「憲法危機」に向かっている。米国では移民問題について伝統的に連邦政府の権限が強い。トランプ大統領はまず移民問題で司法命令を無視している。これは、大統領が司法制度に背くことを、社会や裁判所がどこまで許容するのか試している段階だ。危険な兆候である。私は、トランプ大統領が州兵を使って市民デモを鎮圧するような事態を懸念している。州兵は、各州政府傘下の組織だが、連邦政府の二重統制下にもあり、決定的な司法との対立になりかねない。
―トランプ氏の言動の大元には何があるのでしょうか。
モンク トランプ政権は、政府機関が急進的リベラルの考えを推し進める「ディープ・ステート」の一部であるという考えを触れ回っている。自らの計画にそぐわない大学や企業、官僚組織をこの論理で攻撃し、裁判所に従わないことさえ正当化しようとしている。これはトルコのエルドアン大統領やインドのモディ首相など、ポピュリスト政治家の手法と共通している。問題はトランプがこの論理をどこまで押・・・
モンク 米国は「憲法危機」に向かっている。米国では移民問題について伝統的に連邦政府の権限が強い。トランプ大統領はまず移民問題で司法命令を無視している。これは、大統領が司法制度に背くことを、社会や裁判所がどこまで許容するのか試している段階だ。危険な兆候である。私は、トランプ大統領が州兵を使って市民デモを鎮圧するような事態を懸念している。州兵は、各州政府傘下の組織だが、連邦政府の二重統制下にもあり、決定的な司法との対立になりかねない。
―トランプ氏の言動の大元には何があるのでしょうか。
モンク トランプ政権は、政府機関が急進的リベラルの考えを推し進める「ディープ・ステート」の一部であるという考えを触れ回っている。自らの計画にそぐわない大学や企業、官僚組織をこの論理で攻撃し、裁判所に従わないことさえ正当化しようとしている。これはトルコのエルドアン大統領やインドのモディ首相など、ポピュリスト政治家の手法と共通している。問題はトランプがこの論理をどこまで押・・・