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経済

「債券売買」で 暴利を貪る輩たち

金融庁「投資家見殺し」の無法状態

2023年10月号

 ドル建ての劣後社債をめぐって、とんでもない異常事態が発生している。「保有している投資家の間で、為替差益を勘案しても三〇%もの損失が生じるケースが増えている」。ある中堅証券の幹部は苦虫を噛みつぶしたような渋い表情でこう明かす。岸田文雄政権が大々的に掲げ始めたのが「資産運用立国」である。だが、そんなビジョンとは裏腹に、足元では資産運用をめぐり、古色蒼然とした不透明なビジネスが横行している。それが異常事態の元凶である。
 劣後社債とは発行体企業が万が一、経営破綻した場合、一般の債券と比較して弁済順位が劣る債券である。つまり弁済順位としては一般の社債と株式の中間にあると言える。そのようなリスクを反映して劣後社債は一般社債よりも金利条件は高く設定される。要するに、リスクの高さに応じた金利設定となっている。
 日銀の超金融緩和政策の下で、わが国では著しい資産運用難に陥っているなかで、ドル建て劣後社債の金利の高さは魅力的である。そこで、証券会社や金融商品仲介業者、さらに銀行なども「ドル建て劣後社債」を売りまくってきた経緯がある。

「仕切り売買」の闇・・・

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