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経済

日本国債「格下げ」の足音

政治の無能が招く深刻事態

2024年1月号

 新たな年に浮上しているのが、日本国債「格下げ」への懸念である。国債の信用度は一国の評価となるだけに、円の価値への不安へとつながりかねないリスクをはらむ。すでに、わが国の借金はデッドラインにある。国の土台が揺らいでいるのに政府は無策だ。これが格下げ懸念の背景である。さらに自民党派閥の裏金問題で政治は一挙に流動化した。「国のガバナンスが問われ、日本国債の評価にまで波及しかねない」というムードが金融市場にジワジワと広がり始めている。
 格付けは、債券を発行する主体の返済能力を評価する通信簿と言える。それを担うのは格付け会社と呼ばれる複数の民間企業だ。国際的な有力会社がスタンダード&プアーズ(S&P)、ムーディーズ、フィッチの三社である。その格付け次第で債券の市場価値は大きく動く。債券のうち、ソブリン物と呼ばれる国債なども同様である。ソブリン物の場合、国の通貨価値にまで余波が及ぶから、その格付けの影響は多大である。
 いまさら言うまでもなく、日本では、国の借金である国債の発行残高は長期国債ベースで一千兆円を突破した。地方債務を加えると一千二百兆円超である。IMF予測では日・・・

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