三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《罪深きはこの官僚》河邉賢裕(外務省総合外交政策局長)

上川陽子「暴走外遊」の太鼓持ち

2024年2月号

 よもや対岸の火事とみているわけではなかろうが、岸田文雄首相が自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件への対応に神経をすり減らす中、同じ宏池会の上川陽子外相は予定通り、1月5日から18日まで約2週間の外遊に出た。
 ウクライナ、米国のほか、フィンランド、スウェーデン、トルコなど9カ国を歴訪。各地で歓迎された上川本人は「新年に良いスタートを切ることができた」と充実感を口にしたが、政権内には冷ややかに受け止める向きも多い。日数が長く、3つの国際裁判所視察や訪問先での書店巡りなど、外交成果とは言い難い、趣味的なスケジュールが目立ったからだ。
 法相を3度経験した上川が「司法外交」と称してオランダ・ハーグの国際司法裁判所を訪れた1月11日、同裁判所では南アフリカがイスラエルにパレスチナ自治区ガザへの軍事作戦停止を求める訴訟の審理が始まった。
 上川は同裁判所で「法の支配」の重要性を訴えたが、帰国後に肝心の審理を巡る日本の立場について問われても「今後の司法手続きを注視する」とかわすだけだ。書店巡りは超党派による「活字文化議員連盟」の活動の延長。会談や行事の合間にねじ・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます