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経済

NTTは「能登」を見棄てる

「手抜き震災復旧」が示す日本の危機

2024年3月号

 モバイルファースト、この言葉を何回繰り返しただろうか。
「最終保障義務をどうするか、その覚悟を携帯電話事業者ももつ必要があるように思う」
 2月8日、NTTの社長・島田明は今年度第3四半期決算の発表会見の席上、能登半島地震の震災復旧に関連し、ユニバーサルサービスの在り方について問われ、こう答えた。その発言に、もはや通信インフラを堅持していく国策会社の気概は感じられない。
 ユニバーサルサービスとは、NTT法が同社に課している、固定電話をあまねく全国に提供する役務である。最終保障義務があり、放棄・撤退は許されない。しかし、元日夕刻、最大震度七の激震に見舞われた石川県では、電柱、局舎が倒壊、本格復旧は半年以上かかるとされる。応急復旧には携帯電話が有効であり、だから、島田は「モバイルファーストでやっている」と強調したのだ。
 まるで「固定電話は不要」と言わんばかりの口吻である。NTT法の廃止を自民党の一部議員が提言したことは周知の通り。狙いの一つが、ユニバの責務を携帯電話4社など民間事業者へ拡散することにあり、島田がその論拠に震災復旧を挙げるなら、そ・・・