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経済

日本株はまだ「割高」ではない

苦節三十年を経て迎えた「普通」

2024年4月号

 二月二十二日、日経平均株価が三十四年前の史上最高値を更新した。極端な円安下での達成は不格好ではあるが「失われた時代」を終わらせることができた。一月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、初心者マネーが動いている。新しい相場に新しい投資家層が入った今、日本株の現在地を記した〝地図〟が必要だ。「今の日本株」が時間(過去)軸と空間(世界)軸の視点でどういう水準にあるかを見てみよう。
 三月には日銀が十七年ぶりに利上げ(マイナス金利解除)に動いた。東京市場が騒がしくなっている。だが、NISA投資先として圧倒的に人気なのが、「全世界株(オール・カントリー)」「米国株」で、「日本株」は少数派だという。 
 さすがに日本株に対して悲観的すぎるかもしれない。
 そもそも全世界株の多くが米国の超大型株に偏っている。初心者や、バブルやその崩壊を知らない若者に、「ありのままの日本株」をどう説明すべきか。いい指標がある。「景気循環調整後株価収益率」(CAPEレシオ)という超長期投資の評価尺度だ。名前の通り、景気循環の影響を排除して企業の収益性を見る指標である。
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