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米中「パナマ運河争奪戦」が熾烈に

「米軍投入」もあり得る雲行き

2025年5月号

 世界経済の大動脈であるパナマ運河が、米国と中国の地政学的競争の最前線に立たされている。ドナルド・トランプ大統領と習近平総書記が、互いの経済人脈を駆使して、運河利権を自国傘下に置こうとしているからだ。
 トランプ大統領は、運河支配のため米軍投入の可能性を否定せず、国防総省などに有事の際の軍事作戦策定を命じたと伝えられる。中国側は、大西洋側と太平洋側の双方で押さえている最大港湾の利権を死守する構えで、運河周辺の安保情勢はにわかにきな臭くなってきた。
 トランプ大統領のディール(取引)には、世界の大富豪たちの動向がつきものだ。この人たちのアンテナは往々にして、国務省や中央情報局(CIA)の情報網とは違うところを向いている。
 米大統領の発言や決定に、世界中のメディアがしばしば戸惑うのも、トランプ大統領が特異な情報網を持っているためだ。
 パナマ運河の利権は、「物流」だけの話ではない。業界関係者は「世界中のカネがパナマに群がるのは、基本的に海運とは関係がない。マネーゲームやマネーロンダリングの格好の舞台になるからだ」とまで言い切る。

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