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経済

JA全中に「不要論」が噴出

米騒動で「組織不全」を露呈

2025年5月号

 農家や農村の窮状を訴える「令和の百姓一揆」と銘打ったデモが3月30日に実行され、東京・青山、原宿、代々木にかけてトラクター約30台が行進、約4500人(主催者発表)が参加した。生産者が直接参加する大規模なデモは、環太平洋連携協定(TPP)反対運動が相次いだ2010年代後半以降、約十数年ぶりだったが、生産者の最大の組織である農業協同組合(JA)グループは参加を見送った。この現実こそ、生産者を大衆とつなぐ役割を放棄した現在の全国農業協同組合中央会(JA全中)の立ち位置を象徴している。
 JAグループのナショナルセンター、JA全中(山野徹会長)が大衆運動から手を引いたきっかけは、安倍晋三政権によるJA改革。かつては農業協同組合法上の特別認可法人で、海外でも「ゼンチュー」として知られる強力な圧力団体だったが、同法の改正により19年に一般社団法人化された。全国約500のJAの監査や経営指導の権限を失い、各県レベルの中央会との連絡・調整、広報、税務・労務などの経営支援、情報システムの提供が業務の中心となった。

農水省の失政の「共犯」扱い・・・

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