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仏カトリック学校「性虐待」の泥沼

宗教離れと社会の分断が加速

2025年6月号

 ローマ教皇が新たに選出され、分断する世界の融和に向けた役割に期待が高まっている。一方で、前教皇が積み残したカトリック教会の性的虐待問題は解決には程遠い。フランスでは問題の舞台が教会から私立学校に飛び火し、首相を巻き込んだスキャンダルに発展している。新教皇レオ14世にも、司教を務めたペルーで問題に十分に対処しなかったとする指摘が上がった。教会側はすぐにこれを否定したが、カトリックのお膝元の西欧では性的虐待問題の根深さに、新教皇就任のお祝いムードとは程遠い空気が蔓延する。
 フランス教育史上、最大規模の児童虐待事件―。問題となっているのは、南西部ポー近郊にあるカトリック系の中高一貫校「ノートルダム・ド・ベタラム」で、1950年代から2000年代まで、教師や世話係の聖職者らが生徒に性的・身体的虐待を加えていたというものだ。約20人の聖職者らが関与したとみられ、200人以上の元生徒が被害を訴えている。さらに地元選出のフランソワ・バイル現首相(74)が、1993〜97年に教育相を務めた際、同校の虐待問題を把握しながら放置した疑いが浮上。暴行の被害者の一人としてバイル氏の長女(53)も・・・

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