中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が５月８日、モスクワでの首脳会談で調印した共同声明は、日本批判に満ちた異例の内容だった。声明は、「第２次世界大戦の歴史の改竄」を許さないと主張し、日本政府に対して「靖国神社など歴史問題で言動を慎み、軍国主義と決別」するよう要求した。
　中露両首脳は年に一度の公式訪問で共同声明を発表するが、従来は福島原発事故処理水問題などに触れる程度だった。ところが今年は、対独・対日戦勝80周年を踏まえ、日本への言及が20カ所近くに及んだ。これほど執拗な中露の「日本軍国主義」批判は、中ソ蜜月時代を通じても例がない。
　長文の共同声明は、「ナチス・ドイツと軍国主義日本の敗北は、異民族を奴隷化し、世界支配を企てたファシストの野望の破滅を象徴した」と称賛。中露がドイツと日本の戦争犯罪に関する新たな証拠と資料を調査・研究し、歴史的現場で共同記念行事を行うとしている。
　プーチンは翌９日の対独戦勝記念式典演説でも、主賓の習近平に配慮し、日本の敗北をもたらした「中国人民の勇気」に言及した。
　中露の反日歴史攻勢に対し、林芳正官房長・・・