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政治

自民党を汚染する「幽霊党員」

「首相選任」を歪める重大事態

2025年6月号

 政治のアウトサイダーが権力を握り、民主的に築き上げた秩序を破壊する現象は、古今東西、権威主義国家でなく民主主義国家で起きた。
 ナチスドイツや米国のドナルド・トランプ政権が典型で、指導者の資質を見極める政党の機能不全が共通点だ。その意味で日本の首相選びに影響力を持つ自由民主党の党員を巡る不正は、不適格者を総裁に押し上げ、民主主義の土台を崩すリスクをはらんでいる。

「党費」の原資が不透明

「天の声も、たまには変な声がある」―。1978年の自民党総裁選で当時の首相、福田赳夫が口にした有名な言葉だ。
 党員による初の予備選が行われ、有利と目された福田が大平正芳の後塵を拝し、本選を辞退した。総裁選で敗れた唯一の現職首相となった福田が党員票を「天の声」に喩え、「変」と形容したのは、元首相・田中角栄が党員票に影響を及ぼしたと見ての不満と受け止められた。
 国会議員票の比重が大きかった時代も、党員票が結果を左右した例はある。2001年の総裁選で小泉純一郎が勝った時もそうだった。その後、「より・・・

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