さまよう「岩盤保守層」への幻想
分裂離散でも過大評価の奇々怪々
2025年9月号
1匹の妖怪が永田町を徘徊している。「岩盤保守層」という妖怪が―。マルクスとエンゲルスの共著『共産党宣言』冒頭のもじりだが、妖怪は、お化けとも亡霊とも訳され、実態より誇大に恐れられている語感を表す。石破茂首相の退陣問題が迷走しているのも、永田町で「岩盤保守層」への幻想が幅を利かせているからである。
自民党には安倍晋三政権が国政選挙で6連勝したのは、「岩盤保守層」をつかんでいたからだという神話がある。昨年と今年の衆参両院選で惨敗したのは、その中核層が石破氏の中道リベラル路線を嫌って離れたからだ、安倍政治の継承者である高市早苗元経済安全保障担当相に交代させて、「岩盤保守層」を取り戻すのが党勢回復の王道だという理屈が堂々と語られる。
しかし、党内には殊更に右寄りをアピールしたがる高市氏を危ぶむ人も多い。昨年の総裁選第1回投票で、議員票も党員票も石破氏を上回り1位だったのに、決選投票で逆転されたのは、高市タカ派路線を警戒した議員と都道府県連代表が石破氏支持に回ったからだった。日中経済関係に柔軟さを求める経済界にも忌避感は強い。
今回、石破氏辞任を求める議員の・・・
自民党には安倍晋三政権が国政選挙で6連勝したのは、「岩盤保守層」をつかんでいたからだという神話がある。昨年と今年の衆参両院選で惨敗したのは、その中核層が石破氏の中道リベラル路線を嫌って離れたからだ、安倍政治の継承者である高市早苗元経済安全保障担当相に交代させて、「岩盤保守層」を取り戻すのが党勢回復の王道だという理屈が堂々と語られる。
しかし、党内には殊更に右寄りをアピールしたがる高市氏を危ぶむ人も多い。昨年の総裁選第1回投票で、議員票も党員票も石破氏を上回り1位だったのに、決選投票で逆転されたのは、高市タカ派路線を警戒した議員と都道府県連代表が石破氏支持に回ったからだった。日中経済関係に柔軟さを求める経済界にも忌避感は強い。
今回、石破氏辞任を求める議員の・・・