皇室の風 第204話
横路孝弘の遺言Ⅳ
岩井克己
2025年9月号
衆議院事務局による横路孝弘元衆院議長からの聴取は、生い立ちや父横路節雄、伯父野呂栄太郎ら父祖係累、弁護士から国政に転じ「社会党のプリンス」と呼ばれた若手代議士時代、3期にわたる北海道知事を経て国政復帰し旧民主党など新党設立に携わった足跡などに及ぶ。
語り口には「悔いなし」との満足感が漂うが、どこか政治に護憲リベラルの理想を託しつつ見果てぬ夢を追い続け未完成に終わったほろ苦さもにじむ。
筆者は1983年の最初の北海道知事選を密着報道した縁がある。
巨額の北海道開発事業と、その権益に絡む政官業の鉄のトライアングルの「道庁マシーン」と呼ばれた巨大な組織選挙に対抗。半分にも満たぬ基礎票ながら、父節雄の出身母体の教職員組合や自治労、全電通、全逓など総評系の産別労働組合を軸に「横路と勝手に連帯する勝手連」を合言葉に掲げた無党派票を集め番狂わせを演じた熾烈な選挙戦の熱気は忘れ難い。
そんな記憶をたどると、聴取録から通奏低音のように蘇るのは、農民、漁師、炭鉱夫や季節労働者、市民活動家といった市井の人々に寄り添い続けた大衆政治家としての肉声である。若手代・・・
語り口には「悔いなし」との満足感が漂うが、どこか政治に護憲リベラルの理想を託しつつ見果てぬ夢を追い続け未完成に終わったほろ苦さもにじむ。
筆者は1983年の最初の北海道知事選を密着報道した縁がある。
巨額の北海道開発事業と、その権益に絡む政官業の鉄のトライアングルの「道庁マシーン」と呼ばれた巨大な組織選挙に対抗。半分にも満たぬ基礎票ながら、父節雄の出身母体の教職員組合や自治労、全電通、全逓など総評系の産別労働組合を軸に「横路と勝手に連帯する勝手連」を合言葉に掲げた無党派票を集め番狂わせを演じた熾烈な選挙戦の熱気は忘れ難い。
そんな記憶をたどると、聴取録から通奏低音のように蘇るのは、農民、漁師、炭鉱夫や季節労働者、市民活動家といった市井の人々に寄り添い続けた大衆政治家としての肉声である。若手代・・・