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経済

「高齢者用NISA」にご用心

煽るメディアと証券会社の「商魂」

2025年11月号

「高齢者のための少額投資非課税制度(NISA)で毎月分配型投信が導入される」―。日本経済新聞の「スクープ」で証券業界が浮き足立っている。金融庁が「顧客の資産寿命を奪うぼろ儲け商品」として販売に待ったをかけてきた商品の解禁。「つみたてNISA」でネット専業証券に完敗した対面証券は「大チャンス到来」と沸き立つが、これはただの空騒ぎだ。金融庁関係者は日経記事について「勇み足でも前のめりでもない。単なる間違い」と全否定するからだ。商魂に火を付けた日経は罪深く、虚構に踊る業界は危うい。
 NISAは2014年の導入以後、制度の拡充が進んできた。「つみたてNISA」の導入によって若手世代の資産形成が広がったほか、「ジュニアNISA」が未成年者をカバーするまでになっていた。一連の対象拡大のなかで抜け落ちていた年代ゾーンが高齢層だった。
「公的年金の支給は2カ月に1度。隙間の月を、NISAを使った投資の利益で埋められないか」と高齢者向けの「プラチナNISA」は提唱された。

金融庁も自民党も記事を否定

 岸・・・

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