「言論の自由」が世界中で危機の一年
マーカス・ブラウクリ (「ワシントン・ポスト」元編集主幹)
2026年1月号
―トランプ大統領の登場で、人々とメディアの関係は変わりましたか。
大統領ではなく、テクノロジーがニュースに対する人々の考え方を変えている。かつて、ジャーナリズムの制作・流通は資本集約的であり、時に許認可が必要なビジネスだったが今は違う。デジタル技術により、誰でも従来のジャーナリズムと同等のデザインでコンテンツを作成し広く共有できる。ソーシャルメディアのプラットフォームは、真実かどうかにかかわらず「エンゲージメント(反応)」の高いコンテンツを優遇する。アルゴリズムはユーザーを同じ考えを持つ集団の中に閉じ込め、消費するコンテンツの真偽を無視させる。これらの要因が複合し、いわゆる「ライアーズ・ディビデンド(嘘つきが得をする)現象」の状況を生んだ。そして、人々はフェイクニュースがいかに簡単に作られ拡散されるか知ったため、見聞きするものを信用しなくなっている。トランプ大統領は、数々の嘘や歪曲、ジャーナリストへの攻撃によって、火に油を注いだに過ぎない。
―米国だけの問題でしょうか。
日本をはじめ世界中で起きている現象だ。国に・・・
大統領ではなく、テクノロジーがニュースに対する人々の考え方を変えている。かつて、ジャーナリズムの制作・流通は資本集約的であり、時に許認可が必要なビジネスだったが今は違う。デジタル技術により、誰でも従来のジャーナリズムと同等のデザインでコンテンツを作成し広く共有できる。ソーシャルメディアのプラットフォームは、真実かどうかにかかわらず「エンゲージメント(反応)」の高いコンテンツを優遇する。アルゴリズムはユーザーを同じ考えを持つ集団の中に閉じ込め、消費するコンテンツの真偽を無視させる。これらの要因が複合し、いわゆる「ライアーズ・ディビデンド(嘘つきが得をする)現象」の状況を生んだ。そして、人々はフェイクニュースがいかに簡単に作られ拡散されるか知ったため、見聞きするものを信用しなくなっている。トランプ大統領は、数々の嘘や歪曲、ジャーナリストへの攻撃によって、火に油を注いだに過ぎない。
―米国だけの問題でしょうか。
日本をはじめ世界中で起きている現象だ。国に・・・









