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連載

金融の世紀

第40回【ウォール街の「M&A中毒」】
黒木 亮

2026年4月号

 LBO(レバレッジド・バイアウト)業界の王者として君臨したKKR(Kohlberg Kravis Roberts & Co.)の幹部たちは、1980年代のLBOブームの追い風を受け、個人資産を雪だるま式に増やしていった。88年には、『フォーブス』誌の推定で、クラビスとロバーツは、それぞれ3億3千万㌦(約415億円)の個人資産を蓄えた。KKRが一貫して少数精鋭主義だったことも、幹部の分け前の多さに寄与した。
 クラビスは、パーク街の550万㌦の自宅マンションをルノアールやモネの絵画、英仏の古美術品で飾り立て、ダイニングルームには、ジョン・シンガー・サージェント(19世紀後半から20世紀前半の米国の画家)が描いた第6代ロンドンデリー侯爵の縦3m・横2m近い巨大な油彩画を飾った(現在はボストン美術館所蔵)。まだ10代だったバイオリニストの五嶋みどりやハープ奏者を招き、個人リサイタルや来客との夕食を楽しんだりもした。メトロポリタン美術館やマウントサイナイ病院の理事といった社会的ステータスとなる職も手に入れた。パーティーで、不動産王のドナルド・トランプ夫妻のような派手な人々と・・・

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