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政治

今「積極財政」では国民が苦しむ

神野 直彦(東京大学名誉教授)

2026年4月号

 ―高市早苗首相が掲げる「責任ある積極財政」は現実的に可能ですか。

 神野 放漫財政と言われるのを嫌っているのだろうが、インフレ下で大きな財政出動を計画しておきながら、「責任ある」と言われても意味がわからない。今の状況で積極財政を行えば、インフレを加速させるのは明らか。本来の物価高対策というのは、物価上昇を抑えるために行うもの。しかし「外為特会ホクホク」と円安を加速させて、企業の業績を上げようとしている。それで物価が上がって国民の生活が苦しくなってから、給付などをしても意味がない。高市政権だけでなく日本政府がいつも問題なのは、議論が企業対策から入ること。本来は「国民生活をどうするか」というところからスタートしなくてはならない。

 ―なぜ誤った財政運営を政府が繰り返すのでしょう。

 神野 日本の民主主義がおかしいからだ。財政とは「共に生きるための仕組み」だ。民主主義に基づく財政運営が基本で、それが産業や市場経済とうまくバランスをとることを目指す。政府が賢人によって運営され、正しい財政判断をするだろうという、いわゆる「ハーヴ・・・

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