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社会・文化

山から「花」が消えていく

温暖化が助長する「鹿害」の脅威

2026年6月号

 6月にもなると、各地の山では、初夏の日差しを浴びてたくさんの花が賑わい出す。
 高山では、雪渓が消えた跡地などに白い花のチングルマやハクサンイチゲ、紅色のイワカガミ、鮮やかな黄色が目に眩しいシナノキンバイ、ミヤマキンバイなどが咲きほこり、日本の山をあざやかに彩る。

柵越しに愛でる高山植物

 ところが今、山の自然は大きく様変わりしつつある。日本第2の高峰、北岳を抱える南アルプスでは、花が咲いているのはもっぱら柵の内側だけで、それ以外の場所では毒や棘のあるわずかな植物―ヤマトリカブトやアザミ、マルバダケブキなどがあるばかりなのだ。
 その犯人は、近年急速に数を増やしているシカの存在だ。
 環境省がまとめた資料等によると、1989年(平成元年)の全国(本州以南)のニホンジカの生息頭数は、約26万頭と推定されている。その後、シカの頭数は約30年間でおよそ9倍に急増し、近年は240万〜300万頭前後で推移する状態が続いている。草食動物のシカは食欲旺盛で、これだけの数のシカがいると植生に大・・・

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