大往生考 第78話
「早く死にたい」は罪ですか
佐野 海那斗
2026年6月号
患者が望まない無益な終末期医療は控えるべきだ。これは、すでに社会的コンセンサスと言っていい。だが、現場での実践は時に容易ではない。
先日、外来に通院する60代の女性から込み入った相談を受けた。肺炎で亡くなった夫について、主治医への不満から、息子が訴訟を準備中だという。
夫は心臓を患っていた。3年前に急性心筋梗塞を発症し、冠動脈ステント留置術を受けた。翌年には再び心筋梗塞を起こし心不全となった。その後は自宅で寝込む日が増えていった。
状態が悪化したのは今年1月。妻は「食欲がめっきり落ち、みるみる痩せていった」と振り返る。循環器内科の外来に通院する一方、在宅診療医が定期的に往診し、点滴を続けていた。しかし、昨秋まで55㎏あった体重は、45㎏まで落ちた。心不全も悪化したため、在宅医の判断で入院となった。
入院後、利尿薬や強心薬による治療で心不全は改善した。ところが、食欲は戻らない。
このような場合、悪性腫瘍や感染症などの合併が疑われる。主治医は精査を重ねたが、原因を特定できなかった。入院から2カ月後、治療の甲斐なく帰らぬ人となった・・・
先日、外来に通院する60代の女性から込み入った相談を受けた。肺炎で亡くなった夫について、主治医への不満から、息子が訴訟を準備中だという。
夫は心臓を患っていた。3年前に急性心筋梗塞を発症し、冠動脈ステント留置術を受けた。翌年には再び心筋梗塞を起こし心不全となった。その後は自宅で寝込む日が増えていった。
状態が悪化したのは今年1月。妻は「食欲がめっきり落ち、みるみる痩せていった」と振り返る。循環器内科の外来に通院する一方、在宅診療医が定期的に往診し、点滴を続けていた。しかし、昨秋まで55㎏あった体重は、45㎏まで落ちた。心不全も悪化したため、在宅医の判断で入院となった。
入院後、利尿薬や強心薬による治療で心不全は改善した。ところが、食欲は戻らない。
このような場合、悪性腫瘍や感染症などの合併が疑われる。主治医は精査を重ねたが、原因を特定できなかった。入院から2カ月後、治療の甲斐なく帰らぬ人となった・・・









