大往生考 第80話
「覚悟はできていました」
佐野 海那斗
2026年8月号
若くしてがんを患う人が増えている。海外の医学誌は50歳未満のがん患者の増加について、先日特集していた。肥満や食生活、腸内細菌など、複数の要因が関係しているという。
若年者のがんへの対応は、医療者にとって悩ましい。働く現役世代であり、扶養家族を抱えていることも多い。そうした患者へのがんの告知は、医師にとっても精神的ハードルは高い。
その患者は40代の男性だった。知人の紹介で10年ほど前に知り合った。都内の大学を卒業後、証券会社に勤務し、妻と2人の高校生の息子と暮らしていた。アレルギー性鼻炎と不眠症のため、定期的に私の外来を受診していた。
彼が通院する理由はもう一つあった。定期的な診察に加え、内視鏡検査や超音波検査、MRIなどによるがん検診を受けるためだ。
彼は典型的ながん家系だった。父親は胃がん、母親は膵臓がんで、ともに50代で亡くなっていた。数年前には姉も乳がんを発症し、現在も治療中だ。祖父母にもがん患者がいた。
そんな彼は、たばこはもちろん、飲酒も控えていた。定期的な運動を欠かさず、筋肉質で標準体重を維持していた。両親に勧・・・
若年者のがんへの対応は、医療者にとって悩ましい。働く現役世代であり、扶養家族を抱えていることも多い。そうした患者へのがんの告知は、医師にとっても精神的ハードルは高い。
その患者は40代の男性だった。知人の紹介で10年ほど前に知り合った。都内の大学を卒業後、証券会社に勤務し、妻と2人の高校生の息子と暮らしていた。アレルギー性鼻炎と不眠症のため、定期的に私の外来を受診していた。
彼が通院する理由はもう一つあった。定期的な診察に加え、内視鏡検査や超音波検査、MRIなどによるがん検診を受けるためだ。
彼は典型的ながん家系だった。父親は胃がん、母親は膵臓がんで、ともに50代で亡くなっていた。数年前には姉も乳がんを発症し、現在も治療中だ。祖父母にもがん患者がいた。
そんな彼は、たばこはもちろん、飲酒も控えていた。定期的な運動を欠かさず、筋肉質で標準体重を維持していた。両親に勧・・・









