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連載

をんな千一夜 第113話

天皇の従妹を産んだ「芸者」
石井 妙子

2026年8月号

 拙速に皇室典範改正案が議会を通過した。「男系男子が日本の伝統であり文化だ」というが、その男系男子は側室制度がなければ成り立たない。
 伊藤博文は憲法を制定するにあたってヨーロッパに留学し、側室の子どもによる皇位継承は先進国の価値観にそぐわないということを重々、理解して帰国した。それゆえ伊藤は皇室典範を起草する際、女性天皇を認めようとするが国内の反対意見に押されて、やむなく断念している。
 表向き大正天皇の母は明治天皇の正妻である一条美子(昭憲皇太后)であるが、生みの母は側室の柳原愛子である。
 美子皇后は子どもを授からず、5人の側室が次々と15人の皇子や皇女を出産したが、成人した皇子はひとりだけだったのだ。
 この愛子がいなければ、明治天皇の男系の血は途絶えていたことになる。〝男系男子〟の血脈を残したという点から見れば、彼女こそが皇室を支えた最大の功労者であろう。しかし、どこまでも日陰の身であり、生前も死後も相応な待遇を受けてはいない。
 京都市伏見区にある「伏見桃山陵」に明治天皇とともに眠るのは正妻の美子であって、愛子は東京都目黒区・・・

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