金融の世紀
第46回【金融工学を駆使した兜町の御仁】
黒木 亮
2026年10月号
20世紀の金融における最大級の革新といわれるのが、1973年に発表されたオプション価格算出のための偏微分方程式「ブラック-ショールズ・モデル」である。
これによってデリバティブ(金融派生商品)の種類と数量が爆発的に増加し、金融市場自体も著しく拡大した。他方、2023年に関東財務局から業務改善命令を受けた千葉銀行のように、儲け第一主義で高齢者にオプションを組み込んだ複雑な金融商品を売りつけるような弊害も少なくない。
ブラック-ショールズ・モデルを日本に持ち込み、金融工学という言葉すら知らない日本の金融機関を圧倒したのが、大手米系投資銀行、ソロモン・ブラザーズだった。その心臓部は、栗色の髪で童顔のアイルランド系米国人、ジョン・メリウェザーが率いる債券の裁定取引チームで、金融工学でウォール街の最先端を走っていた。 同チームの秘密兵器は、高給で雇い入れた、多数の数学や物理学の博士号を持つクオンツ(数理解析スペシャリスト)たちだった。
ソロモンが、日本で金融工学を本格的に活用し始めたのは、バブル経済が最高潮に迫りつつあった1980年代後半のことだ。同社は、東・・・
これによってデリバティブ(金融派生商品)の種類と数量が爆発的に増加し、金融市場自体も著しく拡大した。他方、2023年に関東財務局から業務改善命令を受けた千葉銀行のように、儲け第一主義で高齢者にオプションを組み込んだ複雑な金融商品を売りつけるような弊害も少なくない。
ブラック-ショールズ・モデルを日本に持ち込み、金融工学という言葉すら知らない日本の金融機関を圧倒したのが、大手米系投資銀行、ソロモン・ブラザーズだった。その心臓部は、栗色の髪で童顔のアイルランド系米国人、ジョン・メリウェザーが率いる債券の裁定取引チームで、金融工学でウォール街の最先端を走っていた。 同チームの秘密兵器は、高給で雇い入れた、多数の数学や物理学の博士号を持つクオンツ(数理解析スペシャリスト)たちだった。
ソロモンが、日本で金融工学を本格的に活用し始めたのは、バブル経済が最高潮に迫りつつあった1980年代後半のことだ。同社は、東・・・









