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WORLD

米国で進行する過激な「保守回帰」

「ティーパーティ」が原動力

2010年7月号

 米国の政治情勢は混迷を極めている。わずか一年半前の「熱狂」が嘘のようにリベラル派が退潮し、「保守揺り戻し」が起きている。注目すべきは、その戻し幅があまりに大きく、共和党現職議員ですら、「リベラル」のレッテルを貼られ苦戦している事実だ。この原動力となっているのは変容した「ティーパーティ」である。
 膨れあがる財政赤字、雇用情勢低迷に加え、「オバマのカトリーナ」とさえ言われるメキシコ湾原油流出事故が政権を直撃している。

共和党とも一定の「距離」


 六月十八日に発表されたギャロップ社の世論調査では「オバマ大統領の再選はない」という回答が五一%に達した。
 既に十一月の中間選挙での民主党の大幅な後退は避けられない。上院の改選前議席数は民主党が五十九議席(民主党系の無党派議員二人を含む)、共和党が四十二議席。今回の中間選挙では両党とも改選数は十八議席である。現在、民主党の勝利が堅い選挙区は九選挙区に過ぎず、逆に四選挙区では確実に議席を失うと見られている。
 他方、共和党は十・・・