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経済

日本の「景気回復」は幻想で終わる

ヘッジファンドが描く「企業流出」の現実味

2010年7月号

「これで景気回復宣言まであと一息というところかな。一番大事なのはデフレ脱出の希望が出てきたところだ」。これはベテランエコノミストが、最近の経済統計を評して述べた言葉である。
 六月十日に第二次改訂が出た二〇一〇年一~三月期の国内総生産(GDP)統計。成長率は年率換算五・〇%と政府や日銀の予想を上回り、「このペースから見ると景気の下支えのための補正予算は不要で、予備の予算二兆円は来年度に使える」という声も出ている。とくに注目されるのが「国内需要デフレーター」という指標だ。〇八年十~十二月期から5四半期続けて下落してデフレを示したが、直近の一~三月期はプラス〇・五%。四~六月期もプラスになるものと見られている。
 この動きは世界的にも注目を浴びており、国際通貨基金(IMF)も日本経済の見通しとして「年の後半には物価はプラスに転じ、デフレ脱出の見込み」と述べている。もちろんIMFは財政問題については「早く再建を」という立場で、消費税の段階的引き上げを求めているのだが、それはまた別の話。菅直人首相が「強い経済、強い財政、強い社会保障」とぶち上げたのも実体経済の好転とい・・・