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連載

新・不養生のすすめ 第15話

本当に「朝食は大切」か?
大西 睦子

2018年6月号

「朝食をしっかり食べるべき」「朝食は一日で一番大切な食事」といった神話が広がっている。そんな中、朝食をとらない日本人の増加が問題になっている。二〇一六年の厚生労働省の報告によると、朝食をとらない割合は特に若者に高く、二十歳代男性三七・四%、女性二三・一%だ。
 そこで農林水産省は、朝食欠食の改善と、米を中心とした日本型食生活の普及・啓発による食料自給率向上を目的とした「めざましごはん」のキャンペーンを実地している。「朝ごはんを抜くと昼頃にお腹が空きすぎて、ついどか食いしがち、肥満につながりやすい」「脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖、朝にしっかりごはんを食べないと、脳のエネルギーが不足し、集中力や記憶力も低下」「ごはんを主食にすると、自然とバランスが取れやすい」などと朝ごはんの効用が示されている。そして、「ごはん食にはよいことがいっぱい」「ごはん食で充実した生活を送りましょう」と謳い、朝の「ごはん食」を推奨する。
 ところが最近、さまざまな研究が、朝食のメリットについて疑問を投じている。まずは、朝食を規則正しく食べることは、肥満の予防に役立つという誤解だ。一三年、・・・