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WORLD

ついに動き出す「欧州外交部」

世界情勢に強い影響力

2010年12月号

 本誌の発行日である十二月一日、EUでは「欧州外交部」(欧州対外行動庁、EEAS)が発足する。フランス・オランダの国民投票による欧州憲法条約の否決から五年余りを経て、遂に「EUの外務省」が実現を見る。いわゆる「EU大統領」(欧州理事会常任議長)職の設置と並ぶ、リスボン条約(昨年十二月発効)の目玉の一つだ。
 しかし、その船出は思いのほか波乱万丈のものとなりそうだ。
 

前体制とは様変わりに


 十一月十五日から十六日未明にかけて、EUの立法府である閣僚理事会と欧州議会は、二〇一一年予算案をめぐってギリギリの折衝を行っていた。欧州議会側は、予算額について譲歩する代わりに二〇一三年以降の財政枠組策定への参画等、一定の影響力確保で手を打とうと妥協案を示した。しかし、閣僚理事会側の英国・スウェーデン・デンマーク・オランダが強硬に反対。交渉は決裂に終わった。
 憤懣やるかたない欧州委員会のバローゾ委員長は「天に唾する行為だ」と痛烈に批判、欧州議会のブゼク議長も「ごく少数の加盟国」が妥協をぶち壊し・・・