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経済

スズキのインド事業に綻び露わ

泥沼の労務問題で「独り負け」

2011年10月号

「『契約違反』ということは戦争前夜と同じだ」  スズキの鈴木修会長は九月十二日、都内で開かれた独フォルクスワーゲン(VW)との提携解消発表後の緊急記者会見でこう述べた。 VWの狙いである「スズキの経常利益の半分以上を稼ぎ出すインド子会社『マルチ・スズキ・インディア』」の行方が注目されたが、同社のヴィンターコルン会長は翌日、「スズキなしでもインド事業の拡大は可能」とメディアの前で自信をみせた。インド自動車市場の「混乱」をみれば、この言葉はさほど深読みする必要はないかもしれない。事実、VWがインド販売台数で前年比三桁増を続けている一方、スズキは労使紛争が泥沼化し、三月の十二万台から七月には七万台へ急失速しているのだ。VWとの心理戦に疲弊した今、インド事業の変調も加わり、独立王国スズキの外堀はいよいよ埋まり始めているようだ。

「中途半端な政治的解決」のツケ

 「スズキの労使問題の解決は難しい。今後も尾を引く」(現地日系関係者)。こんな声が巷で囁かれている。実際に、この三カ月間にインド現地紙では「マルチ・スズキのスト終結」という同じ見出しが何度も掲載された。逆にいえば・・・