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社会・文化

「独善」目に余る最高裁の黒子たち

「門前払い」や審理方針で遣りたい放題

2011年2月号

 九八・〇一%―。この国の司法制度がいまだ門戸を閉ざし続けていることを、これほど物語る数字も他にないだろう。「開かれた司法」を謳い文句に裁判員制度が導入された二〇〇九年度。上告された刑事訴訟計一千八百件余りのうち、最高裁判所が法廷を一切開かずに門前払いした「棄却決定」の占める割合がこれである。
 民事訴訟でも、一九九八年から刑事訴訟に倣って上告制限制度を導入。「三審制が骨抜きにされる」と猛反対した日弁連の声も潰え、切り捨てが既成事実化してしまった。ベテラン弁護士が語る。
「上告のほとんどは密室で行われる事前の書面チェックで撥ねられ、十五人の最高裁判事の手元に訴えが届くのは二%足らずという驚くべき現実だ。私も、上告申立書を受け取ったとの知らせが来たと思ったら、わずか二カ月後に棄却の通知をもらって面食らったことがある。最高裁は違憲判断のほか、重大な事実誤認がないかどうかを審査する場なのに、門戸は固く閉ざされ、冤罪を免れる仕組みなど一切ない」

冤罪のタネを蒔き続ける


 実際、最高裁・・・