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経済

《クローズ・アップ》西堀 利(みずほ銀行頭取)

「顧客軽視」路線の首謀者

2011年4月号

 日本全体を震撼させた東日本大震災の翌週、金融の世界でも空前の大混乱が日本列島を襲った。メガバンクの一角、みずほ銀行の現金自動預払機(ATM)が全面停止し、現金引き出しはもちろん、預金、振り込みなどがまったくできなくなったのだ。窓口での振り込み処理なども遅延、給料や公共料金など払われるべきものが払われない事態に至った。他行やコンビニなどの共同ATMでもみずほ銀行分のみ取り扱いができなくなり、みずほ銀を中心に生活している人たちを直撃した。ATMは数日たって復旧したものの送金、振替などの処理は停滞、混乱は月末近くまで及んだ。
 銀行のシステムダウンは今や珍しくないとはいえ、数時間や最悪でも翌日には復旧するのが常だが、今回のみずほ銀に関しては異常なほど手間取り、みずほのシステムに重大な欠陥があることを窺わせた。その責任者である西堀利頭取は日銀記者クラブなどの会見で、自ら説明にあたったが、「もうしわけありません」と言いながらも、表情には謝罪の風を示さず、ATM混乱で迷惑を受けた利用者をかえって怒らせた。
 西堀頭取はみずほ銀の前身の富士銀行出身。「金融界のナポレオン」と称さ・・・