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政治

《罪深きはこの官僚》鈴木久泰(国交省前航空局長)

静岡、茨城空港建設を強行

2010年4月号

 開港からまだ九カ月しか経たないのに将来性に黄信号が灯った静岡空港。国内定期路線が一便も飛ばないまま先月開港に踏み切った茨城空港。どちらも着陸料が安いなどのPRで航空会社の誘致に懸命だが、競合する羽田、成田の両国際空港の発着枠が増えることから便数増は難しい。支援金を出してまで路線を存続させる静岡県の姿勢を含め、そもそも空港は必要だったのかと自問自答する日々が双方の地元では続いている。

「静岡、茨城空港は地元の建設利権と密接に絡んだ航空行政の悪しき象徴だ」。民主党のある国会議員はこう解説する。その両空港の整備終盤段階で、航空局長として深く関わっていたのが現在、海上保安庁長官を務める鈴木久泰だ。

 国土交通省によると、二〇〇八年度の利用実績が開港・拡張前の予測を上回ったのは全国九十八空港のうち熊本、那覇など八空港のみ。同省は「不況で予想以上に需要が落ち込んだため」と言い訳するが、「静岡と茨城は明らかに需要がないのに建設された」(民主党幹部)。政治と結びついた地方空港の乱立とローカル路線の強引な開設が日本航空破綻の一因となったことは広く知られている・・・