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WORLD

中東で孤立する米国

いよいよ歪む世界秩序

2011年4月号特別リポート

 昨年の十二月にチュニジアの野菜売りの一青年が警官の取り締まりに対する抗議の焼身自殺を図ったのがキッカケで、民衆の反体制の動きがあたかも燎原の火のように中東・北アフリカに広まり、やがては一党独裁国家の中国や北朝鮮にも波及するだろう――との綺麗なストーリーは決して誤りではない。が、その中で露呈されたのは米オバマ政権が本音と建前の間を右往左往し、政策の一貫性を完全に欠いてしまったという事実であろう。去る三月二十一日に開始されたリビア攻撃で大統領は米英仏などの有志連合における主導権を取ろうとしなかった。エジプトのムバラク政権を退陣させた際にも米政権内の足並みは揃っていなかったし、これにサウジアラビア、オマーンの親米二カ国は強い疑念を抱いた。
 モーリタニア、モロッコ、アルジェリア、リビア、エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、イエメン、クウェート、イラク、イラン、バーレーン、オマーン、スーダンへと飛び散った火の粉の中で、いつ爆発するかわからない危険性を秘めているのは、米第五艦隊の基地を持つバーレーンだ。
 同じスンニ派のサウジアラビアは治安維持を助けるために出兵する挙・・・