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イラン核開発へ 「破壊工作」が本格化

イスラエルと米英の巧妙な「罠」

2011年4月号

 イランの核開発計画をめぐって、イスラエルと米英の諜報機関が、破壊工作を本格化させている。核開発のトップ暗殺から、コンピューター・ウイルス使用、ダミー会社による、欠陥製品の売り付けまで、様々な手口で開発を邪魔する狙いだ。東日本大震災をきっかけに世界中で原子力の安全性が問題になっているが、イランでは全く別次元の、生死をかけた戦いが展開されている。
 イランのブシェール原子力発電所は、中東初の原発として、今年四月九日から電力供給を開始する予定だった。この日は、二〇〇六年にイランがウラン濃縮技術を確立した記念日で、「核技術国民記念日」と命名されていた。ところが、これを二カ月前に控え、核燃料冷却装置に重大事故が起きた。イランは普段なら完全に沈黙するのだが、前宣伝をしていたため、「燃料冷却装置から核燃料を引き上げざるをえなくなった」と公式に認めた。
 ロシアの原発会社「ロスアトム」社は、「原子炉の冷却装置に金属片が紛れ込んだ可能性があり、そのために核燃料を除去して、原子炉を再点検する必要が生じた」とその理由を説明した。
 この問題に詳しい米国の記者は、「多くの・・・