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経済

絶好調のコマツにも「死角」

頼みの新興国市場に「変調」の兆し

2011年8月号

 今、世界のビジネススクールのケーススタディで最も取り上げられる企業のトップスリーはグーグル、アップル、そしてコマツといわれる。インターネットをベースに急成長したグーグル、アップルが注目されるのはわかりやすいが、ネットともハイテクとも縁遠い地味な建設機械メーカーがそこまで関心を集めるのは意外な感があるだろう。だが、コマツは世界中の企業が成長の原動力にしつつある新興国市場で最も成功した企業という評価を得ているのだ。

新興国景気が同時急降下の不安


 二〇一一年三月期のコマツの決算はまさに絶好調だ。売上高は前期比二八・七%増の一兆八千四百三十一億円で、営業利益は二・三倍の二千二百二十九億円、純益も二・三倍の二千百九十八億円に達した。リーマンショックで落ち込んだ一〇年三月期からの回復局面とはいえ、利益の絶対額はコマツの高収益ぶりを示している。
 高収益を支えるのは建機売り上げの六七%を占める中国、アジア・オセアニア、中南米など新興国市場だ。新興国では高速道路、空港、鉄道、上下水道などのインフラ・・・