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政治

菅をのさばらせたマスコミの罪

政権「延命装置」に成り下がる

2011年8月号

 首相菅直人が事実上の退陣表明をしてから二カ月が経過した。その菅が七月二十三日午後、東京のホテルニューオータニで開かれた山口県立宇部高校の同窓会に出席した。自民党政権時代の経験則で言えば、お国入りや同窓会出席は退陣直前の予兆と受け取られたが、菅の出席はそうではなさそうだ。各紙の報道によると、菅はこんな発言をしている。 「思うようにいかないのは野党とマスコミという私が得意とした分野だ」  菅の気持ちを忖度すれば「オレはこんなに一生懸命やっているのに野党とマスコミはなぜこんなにいじめるのか」との思いに違いない。野党は確かにそうかもしれないが、果たしてマスコミは菅にとって本当に敵といえる存在なのだろうか。

菅と同類の「場当たり報道」

 七月十三日の朝日新聞朝刊は異例の紙面を展開した。一面に論説主幹が「提言 原発ゼロ社会」の見出しで「いまこそ政策の大転換を」と菅に訴えた。一面に留まらない。十四、十五面の見開き紙面で五本の社説を掲載した。「脱原発への道筋」「自然エネルギー政策」など脱原発路線推進を明確にした。ライバル読売新聞のお株を奪うかのような提言型の紙面作りを徹・・・