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サウジは大丈夫か

高まる社会不安と王家の諍い

2012年1月号

「サウジアラビアの王家はチュニジア、エジプト、リビアの支配者と同様、追放されるか、処刑される運命にある」  二〇一一年、アラブ世界で起きた民衆蜂起と体制変革の嵐はとどまるところを知らず、かつては有識者の間だけで「遠い時期のこと」としてささやかれていたこの可能性が、今では多くの観測筋が公言する、より現実的な展望となってきた。熱狂するアラブの市井の民の声はそれを一日も早く見たいと言う。 「(だから)国民に政権を移譲せよ」と言ったのはイラン神権政治のヒエラルキーの頂点に君臨する強硬派アヤトラ(「神の徴」の意)、ジャンナティ師であった。十一月最後の金曜日、テヘラン大学の集団礼拝の説教の中で述べられた歯に衣着せぬこの言葉は当然、物議を醸す。  サウド家にしてみれば、評論家に言われるならまだしも、「イランの滅びゆく神権政治よ、あんたにだけは言われたくない」といった心境だろう。イラン・イスラム革命体制への激しい抗議デモはチュニジアの「ジャスミン革命」前から起きている。イラン国民の政権に対する不満は、サウジ国民の同国政府・王室に対するそれと比べれば、比較にならないほど大きいと言ってよ・・・