三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

度し難き国交省の「省益確保」

官僚主導復活で「我が世の春」

2012年1月号

「九月の組閣のときから結果は見えていたが、ここまで強引にやるとは……」  経済産業省のキャリア官僚の一人は、最近の国土交通省による「巻き返し」についてこう語った。  民主党が政権交代当初掲げた「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズが消え去って久しい。国交省が復活を画策した八ツ場ダムの建設再開は、来年度予算に盛り込まれることになった。  追い風も吹いている。十二月に入り、整備新幹線の未着工区間の三区間同時着工や、東京外環自動車道が、二〇一二年度予算案に盛り込まれることが相次いで決まった。

デタラメな「改革案」

 冒頭の経産官僚の感想は、「出先機関問題」について漏らしたものだ。各省庁が持つ出先機関の事務・権能や予算を地方に移譲する「アクション・プラン(AP)」(一〇年十二月閣議決定)に対する国交省の抵抗は凄まじい。十二月十九日に開かれた第四回AP推進委員会で、国交省提示案に対して、参加した知事らから批判が噴出したことは既に報じられている通りだ。  国交省が強気にやりたい放題できるのには理由がある。  九月、野田政権発足時に入閣・・・