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経済

《クローズ・アップ》永井浩二(野村證券新社長)

失われた「馬力」を取り戻せるか

2012年4月号

 野村が原点回帰するのか―。

 経営危機の噂が絶えない野村證券のトップ人事に話題が集まっている。三月六日、野村ホールディングス(HD)は、野村證券の社長に四月一日付で永井浩二副社長が昇格すると発表した。新社長となる永井氏は、野村證券がガリバー証券として君臨し始めた一九八一年に中央大学を卒業して入社。本店営業部時代には最年少課長に抜擢され、以後、一貫して国内営業で実績を挙げてきた。二〇〇一年には名門支店の京都支店、そしてその後、大阪支店の支店長を歴任。社外の注目度こそ高くはなかったが、社内では「抜群の仕事ぶりと指導力」が評価されていた。

 永井氏の社長就任が「原点回帰」という見方を生んでいる背景には、この経歴がある。黄金期の野村證券では非国立大学卒で国内営業畑の人物が社長に昇り詰めていたからだ。そんなトップの陣頭指揮の下で、野村は突出した国内営業力をライバル他社に見せつけてきた。

 ところが、近年その状況がガラリと変わった。氏家純一氏、古賀信行氏、渡部賢一氏と三代続けて国立大卒の内務官僚型エリートが社長に就任。国内営業より・・・