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WORLD

《世界のキーパーソン》アーナ・ソールバルグ(ノルウェー首相)

北欧の産油国を率いる「女性宰相」

2013年11月号

 十月十六日、オスロの王宮に集合したノルウェー新内閣は、壮観だった。新首相とシーブ・イェンセン財務相の二人の女性が、並み居る新閣僚の一歩前に仁王立ちして写真に収まった。連立を組む保守、進歩両党の党首ともに女性というのも、国民には今では見慣れた光景だ。計十年、首相の座にあったブルントラントに次いで、二人目の女性首相である。

 北欧では近年、急速に女性進出が続く。デンマークは現首相、フィンランドは前大統領と前首相が女性。唯一女性首相がいないスウェーデンでは、悔しそうに「なぜだ?」の議論が続く。閣僚はどの国も男女ほぼ半々。国会議員は北欧諸国平均で四二%が女性だ。

「人口が少ない北欧では、女性の職場進出と少子化防止を同時に実現しなければならない。家庭、子育て、福祉は国政の重要課題で、女性政治家の腕のふるいどころだ」と、北欧外交官が言う。家族政策で実績を積み、重要閣僚にあがっていくのは男性と同じ。ソールバルグは四十歳で初入閣し、二〇〇四年から保守党党首。「鉄のアーナ」と親しまれる五十二歳の彼女が「次の首相」になることを、有権者は当然のものと受け止めた。・・・