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連載

続・不養生のすすめ35

精神の下僕としてでない身体
柴田 博

2013年11月号

 最近“笑い”が心身のストレス解消や免疫力の向上に効果があるという報告が数多く出されている。糖尿病患者の血糖や高血圧患者の血圧のコントロールにも有効であったとする報告もある。愉快だとか楽しいという情動が自律神経を介し、内分泌などの生体における内部環境に影響を与えるメカニズムが想定されている。

 これらの研究は、人間の情動に働きかけその情動の変化を介して、生理的な変化を獲得しようとしているところに特徴がある。一方、情動に働きかけるのではなく、笑うという動作そのものが人間の心身の健康に好影響を与えるという「笑いヨガ」と呼ばれる手法が広がりをみせている。これはインドの医師カタリアが開発したもので、日本では高田佳子(日本笑いヨガ協会会長)が中心になり、その普及に努めている。彼女は、筆者たちが日本で初めて創設した桜美林大学の学際的な老年学の大学院(二〇〇二年設置)の一期生である。筆者が指導した修士論文のテーマは「笑いヨガ」とは直接の関係はなかったが、卒業後ただちに、彼女は「笑いヨガ」の研究と普及に着手した。

 情動を変化させるこ・・・