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経済

食糧管理制度に「先祖返り」の暗澹

小泉が招く「コメ離れ」と余剰の再燃

2025年7月号

 第2次トランプ政権は、1月20日に発足すると直ちに、気候変動枠組み条約のパリ協定からの離脱、世界保健機関(WHO)からの脱退、相互関税の導入など大統領令や覚書を乱発し、SNSなどで発信を絶やさない。これは「フラッド・ザ・ゾーン」(情報の洪水)という広報戦略に基づいている。
 この完全コピーが、5月21日に就任した小泉進次郎農相だ。「トランプ流」を自任し、「コメ大臣」と称して連日のように発信し、「まずは、目の前の異常な高騰を抑える」と議論の余地さえ作らない。メディア側は洪水に押し流されるようにして、政策の是非を論じる余裕もない。議論も検証もないまま既成事実化していく。
 コメ不足は、供給と流通の両面が複雑に絡んでいる。ところが農林水産省は、供給不足という「不都合な真実」を隠ぺいし、小泉農相は流通改革に乗り出した。責任を全国農業協同組合連合会(JA全農)になすりつけ、「コメは買ったことがない」という失言で自滅した江藤拓前農相を除けば、政治家も官僚も誰ひとり責任をとらない。JA側の心中を推し量ると「参院選で自民党が有利になるなら悪役も演じるから、無茶な要求はしないでね」・・・

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