三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

NHK「私物化」を企む 菅官房長官

着々と進む公共放送「掌握」

2013年12月号

 年明け一月のNHK会長の任期切れを前に、NHK内部で「お家芸」の人事抗争が勃発した。安倍政権は松本正之現会長を更迭し、自由自在に操れる財界人を後継に据え、NHK支配を目論む。首謀者は「影の首相」こと菅義偉官房長官であり、NHKでも尻尾を振って菅に迎合する輩が百鬼夜行だ。 菅にすり寄る「獅子身中の虫」  松本は民主党政権時の三年前、NHK次期会長の人選が難航する中で、JR東海の葛西敬之会長が当時の仙谷由人官房長官らに掛け合い、JR東海の副会長からNHKに送り込んだ葛西の「茶坊主」だった。  その葛西が、NHK会長に就任するや言うことを聞かなくなった松本に腹を立て、昵懇の安倍晋三首相らに働きかけて「松本降ろし」に躍起になる。これに菅が呼応した。菅は第一次安倍政権の総務相でNHKを主軸とする放送行政への支配に執念を燃やしてきた。  菅は昨年末の第二次安倍政権の発足直後から、自らと親しく、松本執行部に不満を持つ一部のNHK幹部を都内のホテルに集めて、密かに会合を重ねてきた。今夏、NHKの監督官庁である総務省の次官人事をはじめ各省庁の幹部人・・・