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WORLD

中国は先進国になれない

「成長神話」の虚妄と限界

2014年1月号


 中国の無人月面探査機「嫦娥3号」が月の周回軌道に入り、月面探査車「玉莵」を「虹の入り江」に着陸させようとしていた二〇一三年十二月十二日、北京の天安門広場近くでは湖北省からやってきた十二人の貧農が一斉に農薬をあおり、病院に担ぎ込まれた。農地を雀の涙の補償金で地元政府に奪われ、生活できなくなったことへの命を賭けた抗議だった。

 米国、旧ソ連に次いで世界で三番目に探査機の月面着陸を成功させるほどの科学技術と資金力を持った国と地方政府の手で生活基盤を壊され、死を選ぶところまで追い込まれる農民。この信じ難いコントラストが示すのは、中国が決して先進国への道を歩んではいない、という事実だろう。



一人あたりGDP六千ドルはハリボテ

 中国の一人あたり国内総生産(GDP)は一三年に六千ドルを超えた。これが真実であれば、堂々たる中進国であり、先進国を目指す段階に来ていることは明らかだろう。だが、GDPがどこまで本物かという点で、改めて疑問が生まれている。一九九〇年代から繰り返し国際的な批判・・・