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経済

覆い隠せぬ構造的な「赤字体質」

腐食が進むイオンの金融路線

2014年3月号

 イオングループの総帥、岡田元也社長によれば、「朝早く目を覚ます高齢者は、早朝から買い物に来る」のだそうだ。そこですぐさまイオンでは、一部店舗で「朝七時オープン」を開始した。なにしろ、このグループでは絶対的な権力者である岡田氏の発言は「至上命令」だ。仮にそれが間違っていても、反論する者など誰一人としていない。  だがいま、店舗の売り場ではこんなボヤキが上がっている。「早朝に訪れるのは、徹夜作業明けの作業員たちがビールを買いにくる程度」。しかし、こんな現場の声がトップに伝わらないのもこのグループの「体質」なのだ。  早朝オープンに関しては、さらに滑稽な話がある。売り場の一角に「インストアブランチ」と呼ばれる店舗を構えているイオン銀行も、同時に早朝からオープンしているというのだ。イオン銀行は「住宅ローンの相談に乗る」というキャッチフレーズで有人店舗を数多く出店しているが、始発電車に乗り込んで通勤するイオン銀行員たちは完全に無聊をかこつ毎日を送っている。  この「早朝戦略」が完全なる的外れに終わっていることは明らかだが、そんな牧歌的な失策であれば、まだいい。だが、イオン・・・